不動産売却を法人でおこなう方法は?計算や節税の方法についても解説

不動産を法人で売却する際、個人とどんな税金の違いがあるのか気になりませんか。
法人売却には独自の計算方法や節税策があり、仕組みを知ることで税負担を軽減できる場合もあります。
本記事では、法人と個人の税制の違いや法人税額の計算手順、法人だけが使える節税方法を解説いたします。
不動産売却を検討している法人の方は、ぜひ本記事をご参考になさってくださいね。
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不動産売却時に法人と個人で異なる税金の仕組み

法人と個人では、不動産売却時の税制が異なります。
まずは、法人税と所得税の違いや課税タイミング、メリット・デメリットについて解説していきます。
課税区分の整理
法人が不動産を売却すると、譲渡益は決算に計上され、法人税の対象となります。
一方で、個人が得た譲渡所得は給与などと別枠で扱われ、申告分離課税として所得税と住民税がかかります。
この差により、法人は赤字事業との損益通算ができますが、個人はほかの所得と通算できず、損失の繰り越しにも制限があるのです。
したがって、課税主体と所得区分を整理しておくことが、後述する税率や節税策を検討する土台になります。
保有期間と税率差
資本金1億円以下の中小法人の場合、法人税率は年間利益800万円までが15%、それを超える部分が23.2%で、地方税も含めると実効税率はおおむね30%です。
対して個人は保有期間によって税率が変わり、5年以下なら所得税30%と住民税9%で合計39%、5年を超えると所得税15%、住民税5%で計20%に下がります。
このように、保有期間による税率の変動は個人だけにあり、法人は決算期の利益額に応じて税額が決まります。
法人は決算期をまたいで利益を調整し、納税時期をある程度コントロールできますが、個人は譲渡の翌年3月15日までに確定申告し納税しなければなりません。
売却時期を1年ずらすだけで、個人の税負担はおよそ19%変わるため、戦略的に検討しましょう。
通算・軽減の違い
法人は青色欠損金を最長10年間繰り越せるため、売却益と相殺して実質的な税負担を抑えられます。
個人にも譲渡損失の損益通算と3年間の繰越控除がありますが、対象は譲渡所得に限られ、給与所得などと相殺することはできません。
このほか個人は、居住用長期譲渡で軽減税率14%や3,000万円特別控除を利用できますが、法人には同様の特例がありません。
一方で、法人は組織再編税制を使い、グループ内で損失を振り替えて税額を平準化する手法が取りやすくなります。
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法人売却税額の計算方法

前章では法人と個人で異なる税制の仕組みについて述べましたが、実際に法人での税額算出方法も知りたいですよね。
ここでは、売却益の計算フローや注意点について解説いたします。
取得費などの洗い出し
売却益を正しく計算するためには、まず取得費や付随する諸経費を整理することが出発点となります。
はじめに売却資産の取得費を確定するため、土地や建物の購入価格、仲介手数料、登記費用、測量費などを領収書で集計します。
建物は、取得価格から法定耐用年数に基づく減価償却累計額を差し引き、帳簿価額を求めることが必要です。
また、売却時に支払う仲介手数料や印紙税、測量・解体費用も譲渡費用にくわえ、課税対象となる譲渡所得を正しく算定しましょう。
計算例と税額合算
実際の数値を使った計算例を確認すると、全体像がつかみやすくなります。
たとえば、取得費5,000万円、減価償却累計額1,200万円、譲渡費用300万円を前提とし、売却価格が8,000万円の場合、譲渡所得は3,900万円です。
算出された譲渡所得を当期の課税所得にくわえた場合、中小法人であれば最初の800万円には15%、残り3,100万円には23.2%の法人税が課されます。
さらに、法人住民税・事業税・地方法人税を合わせると実効税率はおおよそ30%となり、概算税額は約1,170万円です。
建物部分の譲渡には消費税10%がかかるため、帳簿価額に按分した建物価格が2,000万円なら、別途200万円の消費税申告が必要になります。
決算処理の注意点
売却益が大きい場合は中間納付額との整合を取り、納税資金を決算前に確保しながら、役員報酬や賞与引当金で利益を調整する方法が検討されます。
赤字部門があれば繰越欠損金で即時に相殺し、課税所得を圧縮することでキャッシュアウトを抑えることが可能です。
受取配当等の益金不算入や外国税額控除など、ほかの控除制度と合わせて最終的な納付額を試算しておくことが不可欠となります。
納税額が想定より膨らむと資金繰りに影響するため、売却契約日と決算期末の間隔を意識してクロージング日程を調整するのも効果的です。
さらに、売却益が次期に大きく繰り越される場合、均等割課税や外形標準課税の負担増にも注意しましょう。
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法人ならではの節税対策

ここまで税制の違いや計算方法を解説しましたが、法人だからこそ活用できる節税策もおさえておきましょう。
最後に、決算期や再投資など、実務的な節税方法について解説していきます。
決算期変更の活用法
法人は決算期を変更することで、売却益が生じる事業年度を短縮または延長し、納税を最長約1年先送りできるメリットがあります。
たとえば、3月決算の会社が10月に売却を予定する場合、決算期を9月に繰り上げれば売却益は翌期に計上され、同年度の累積赤字と損益通算が可能です。
反対に、利益調整が難しいときは決算期を後ろ倒しし、ほかの大型投資と同じ期に売却益をまとめて計上して、税負担を平準化する方法もあります。
ただし、決算期変更には株主総会決議と登記手続きが必要となり、金融機関の融資判断への影響も考慮して時期を検討しなければなりません。
買替特例と圧縮記帳
一定の資産を売却してから1年以内に事業用資産を取得すると、買替特例により譲渡益の80%を圧縮し、課税を将来へ繰り延べることができます。
さらに、公共事業のために土地を譲渡した場合や工場移転に伴うケースでは、圧縮記帳を適用して譲渡益相当額を取得価額から控除できます。
ただし、圧縮記帳の適用には取得資産の種類や価格、取得期限など厳格な条件があるため、売買契約書や取得予定資産の見積書を用意し、事前に確認することが不可欠です。
これらの制度を使えば当期の課税所得を抑え、減価償却を通じて費用を将来にわたり配分できるため、キャッシュフローの安定化につながるでしょう。
再投資減税制度
中小企業投資促進税制を利用すると、デジタル設備や生産性向上設備を取得した際に、即時償却または最大10%の税額控除を選べるため、売却益の再投資効果が高まります。
令和6年度に創設されたカーボンニュートラル投資促進税制では、省エネ改修や再エネ設備に対し最大30%の特別償却が認められ、環境対応と節税を同時に実現可能です。
さらに、政府の成長投資減税では、特定高度技術投資に最大20%の税額控除が付与されるため、売却益を新規事業へ振り向ける好機となります。
これらの制度には適用期限があるため、売却スケジュールと補助金・助成金の公募期間を照合し、投資計画を前倒しで検討しましょう。
また、制度適用には経済産業局への確認書類提出や、設備稼働の確認が求められることもあるため、税務顧問と製造部門が連携し、期限遵守と証憑の保管を徹底しましょう。
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まとめ
法人と個人では、課税区分や保有期間による税率差、損益通算の可否が異なり、戦略的に整理する必要があります。
法人の税額計算では、取得費の洗い出しと譲渡所得の算出が出発点となり、実効税率約30%に消費税も加算されるため資金計画が重要です。
決算期の変更や買替特例、再投資減税などを組み合わせると、売却益の納税負担と長期的なキャッシュフローを緩和できるでしょう。
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